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WAN編集担当氏による「回答」を受けての声明

 WAN編集担当氏による「回答」を受けての声明



  ウィメンズ・アクション・ネットワーク(以下、WAN)が、石上卯乃「トランス女性を排除しているわけではない」を掲載したことに関し、わたしたち、ふぇみ・ゼミ×トランスライツ勉強会は、WAN宛てに公開質問状を送付していました。わたしたちは、WANが組織として質問状に応答するよう要望していたのですが、WANからは、理事長あるいは理事会名ではなく、編集担当名で回答と称した文書が送られてきました。しかも、当該文書は端的に言って公開質問状への回答と呼べるものではありません。そのため以下では、編集担当氏から送られてきた文書を「回答」と記します。


 まず、「回答」の冒頭で「公開質問状にある1問1答形式にはのっとっておりません」との弁明がありますが、これが単に形式の話ではないことは、その後につづく文章を見れば明らかです。WANおよびWAN編集担当氏は、わたしたちの質問のほとんどを無視し、恣意的に論点をすりかえたうえで「回答」をおこなっています。このような態度での「回答」は、自身の差別問題を問われている側の応答としてあまりに不誠実であるとともに、プラットフォームとしての「説明責任を果た」すものには到底なりえません。


 わたしたちは、編集担当氏および理事会が、質問に回答しなかったことこそが回答なのだと考えています。フェミニズムのポータルサイトであるWANがトランスジェンダーへの差別言説を問題視する姿勢を示さないことは、ひるがえって「WANはトランスジェンダー差別を黙認する」という表明にあたります。

 もっとも、WANはトランスジェンダー(特にトランス女性)へのヘイトスピーチにあたる石上エッセイを掲載し続け、トランスフォビックな前提のもとでの「議論」を称揚しているため、もはや黙認ではなく積極的な差別煽動をおこなっている組織だといえます。


 また、「回答」では理事会の責任が徹底的に抹消されていますが、石上エッセイ掲載と掲載後のWANの対応に関して、理事会がなんの責任も持たないということは社会通念上ありえません。WANはNPO法人であり、組織なのですから、理事や理事会が責任を負わなければならないはずです。編集担当氏が、フェミニズムのロジックを用いたトランスジェンダーへのヘイトスピーチを一つの「主張」として捉え、トランスジェンダー排除的な「議論」が「フェミニズムに資する」ものだと考えていることは「回答」から明らかになりました。これらの認識は、トランスジェンダーへの差別・排除を正当化し是認するものですが、WAN理事会はこういった方針のもとで記事の選定や掲載がおこなわれることを追認しています。


 編集担当氏による「回答」は、「今後ともWANをご利用ください。」という文で締めくくられていましたが、わたしたちは積極的にトランスジェンダーへの差別煽動をおこなうプラットフォームを利用しません。たいへん残念なことですが、対話によってWANに方針の是正を求めるのが困難であることは、先の「回答」によりはっきりしました。今後、わたしたちは、すでに広がりつつあるWANへのボイコットを可視化し、トランスジェンダー差別に対するWANの責任を問うとともに、トランスジェンダー差別とトランスジェンダー排除的なフェミニズムに抵抗します。その一環として、グーグルフォームを使ってボイコットに参加された方のお名前や取り下げた記事のタイトルや転載先などを集約し、ブログにまとめて掲載させていただく予定です(情報をご本人がお寄せいただける場合に限ります)。また、記事の再掲載先が見つかっていない方のフォローアップもおこなえればと思います。(グーグルフォームはこちらです:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScNiLhs_3EBQgFWNiIIaie312vE4bkaAP5oUpQRUavray7dwA/viewform


 フェミニズムの語彙を用いたトランスジェンダー差別の問題は、フェミニズムの問題です。また、トランスジェンダー差別に関してより多くの人と問題意識を共有するためには、Twitterを見ていない層の人々に情報を届け、オフラインでの運動を広げておくことが重要です。わたしたちふぇみ・ゼミ×トランスライツ勉強会はフェミニズムにおけるトランスジェンダー差別・排除に抵抗し、ヘイトスピーチを止めるための活動を続けていきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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